イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
「あなた~、木の実ちゃん、やっぱりそうだって~」
奥様は奥にいるオーナーにそう声をかけた。
「木の実ちゃん、実はね、美味しい話があるのよ」
奥様は店にお客がいない事を確かめてから、木の実に小さな声でそう言った。
「美味しい話ですか?」
「そうなの。
実はね、私の実家が小さなマンションを経営してるんだけど、一つだけ中々決まらない部屋があって。
それが、私の両親の家と中でつながってるのよね。
行き来するドアがあって、実はこの間まで年の離れた弟がそこに住んでたんだけど、結婚して出て行ったもんだから、長い間、空き部屋なの。
ドアはね、鍵をかけちゃえば何も問題はないと思うんだけど、中々借り手がつかなくて、私達も変な人にはそんな部屋だから貸したくもなかったりして」
木の実は、前のめりになって奥様の話を聞いた。
「あの、場所はどこでもいいんです、駅から離れてても都心から遠くても…
や、家賃はどれくらいになりますか…?」
お金がないなんて恥ずかしくて言いたくはないけれど、でも、この際そんな事言ってる場合じゃない。
「場所は結構いい所よ。駅にも7分位だし、この店までも30分もあれば来れるかな。
家賃は色々面倒な物件だから、3万5千円でどうでしょう?」
「さ、3万5千円?? そんなに安くていいんですか?」
「その代わり、年老いた両親に優しく声をかけたりしてほしいの」
「全然、OKです!
私、ご両親に何かあったらすぐに飛んでいきます。
毎日、お話に行きます」