イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
「か、彼が、あの、迎えに来てくれてるんです…」
その年配の男性は、その言葉を聞いても腑に落ちない顔をしている。
木の実から目を離さずに、木の実の不自然なスーツケースをチラッと見ては不可解な顔をした。
木の実が急ぎ足で歩き出すと、その年配の男性は携帯を取り出し誰かに電話をかけ始めた。
あ~、ヤバいよ…
こんなとこで捕まりたくない…
木の実が泣きそうな顔で当てもなく駐車場を歩いていると、誰かが木の実の腕を強く引っ張った。
「ねえ、もしかして、君って家出少女?」
木の実は息をすることも忘れていた。
外国人の知り合いなんて、大学の時の留学生でタイ人のコルニャだけだ。
それが、こんな切羽詰まった場所で、金髪で美形のイケメン男子が私の腕を握っている。
木の実がぼおっとその人を見ていると、さっきの年配の男性と警備員がこちらへ走って来た。
「警備員さん、この子です。
ちょっと挙動不審で、このビル内をスーツケースをゴロゴロ転がしてうろついている女の子」
木の実はやっと我に返り、怒った顔の警備員を見て固まってしまった。
「警備員さん、この子は僕の知り合いです。
あ、僕は、“EOC”のジャスティン・レスターです。
何か、問題でしょうか?」
「あ、“EOC”のレスターさんですか?
よく存じ上げています。
レスターさんのお知り合いなら、何の問題もありません。
どうも失礼いたしました」