イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
木の実は隣で慌てるジャスティンの事など全く気づかず、シュウが出してくれたトマトソースのパスタとチキンのグリルに心を奪われていた。
目の前に立つシュウがしなやかな手さばきでチキンを均等にカットして、取り皿にパスタとチキンを取り分けてくれる。
「ありがとう」
木の実はまたパクパク食べ始める。
綺麗なワンピースを着てモデルさんのように見えるのに、大きな口を開けて食べる姿はある意味凄く魅力的だった。シュウはそんな事を考えながら、ジャスティンの前に二杯目のカクテルを出す。
ジャスティンは、二人の女の子を同伴している謙人に捕まっていた。
明らかに、ジャスティンの機嫌は悪くなっている。
ジャスティンの表情から、また雄の保護本能を丸出しにしているのが見てとれた。
「こんにちは、初めまして」
謙人は奥のVIPルームに女の子を連れて行った後、またカウンターに戻って来た。
食事を済ませ帰ろうとしている木の実の隣に座り、いきなり話しかける。
「え? あ、こんにちは」
木の実は、また、絶世のイケメンが現れたと思った。
ワイン色に近い光沢のあるスーツに、少しだけ緩めた真っ黒のネクタイが妙に色っぽい。
長い黒髪を後ろで束ね、長方形の角ばった黒縁のメガネの奥に切れ長の大きな目が覗いている。
こういう人を色男っていうのだろう。
でも、木の実は、ジャスティンの方が百倍好みだわと、少し冷めた目で謙人を見た。
「俺はジャスティンと同じ職場で働いている、前田謙人って言うんだ」