イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇



「あ、あの…
どなたか存じませんが、本当にありがとうございました…」


ジャスティンは、まだ小刻みに震えているその子から目が離せずにいた。


「誰かと待ち合わせ?」



「い、いや、あの、たまたまこのビルに入っちゃって…
なんだか、映画の世界に迷い込んだみたいなそんな気持ちになって、このビルを見学してたんです」


やっぱりな…
そういうことだろうと思ったよ。


「本当にごめんなさい、もう帰ります。
え?」



「え?」


可愛らしい顔から飛び出す言葉は理解不能だ。


「あの、日本語お上手なんですね。
私のタイ人の友達のコルニャは、2年も日本に住んでるのに、まだちんぷんかんぷんな日本語なんです。どうしましょうって感じです」


その子は肩をすくめて笑って見せた。


「あ~そうか、俺は、こんな見た目外人だけど、日本生まれの日本育ちだから。
多分、コルニャ?より、いや君より、日本語上手いと思うよ」


その子は今度はケラケラ笑った。
笑った顔は小動物のリスに似ている。


「じゃ、本当に帰りますね。
お世話になりました」


でも、ジャスティンは、その子の持ち物のスーツケースを掴んでいる。


「今、一人で帰ったら、また警備員に捕まるよ」





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