イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
時間が過ぎるのがこんなに遅いとは思わなかった。
強い酒をどんなに飲んでも、酔いも睡魔も何も襲ってこない。
さっきから携帯がずっと鳴っている。
木の実からじゃないのは分かってるけど、でも、もしかして、ナッツか…??
「もしもし…」
「ジャス、お前、大丈夫か…?」
ジャスティンはもう電話を切りたくなった。
木の実以外の人間に何も用事はない。
「シュウか…?」
「木の実ちゃんとどうなったのかと思ってさ。
謙人があんな事言った後の木の実ちゃんの顔が真っ青だったから、ちょっと心配して…」
シュウは、自分達が持つ性への問題はそんな簡単じゃない事は分かっていた。
普通の人間にとったら、理解する事すら難しい。
ジャスティンを含めた自分達のいる世界は、そういう問題を抱えた特殊な人間が多いため、半ばその問題すら何も感じなくなっている。
でも、木の実ちゃんは違う。
あの子は、純で素朴でそういう問題自体何も知らずに育ってきたはずだから。
「あ~、ナッツは出て行ったよ……」
「え…? マジか?」
「そうなるだろ……
あんな事聞いたら…」
ジャスティンの声は聞き取れないほどに小さい。
話したくなくてムカついているのが、電話越しでも分かった。
「シュウ……
本当、悪いんだけど、もう、お前じゃないんだ。
立ち直るとか、そういう事なのかとかも何も分からない。
喪失感と虚無感が半端なくて、叫びたいくらいにナッツに会いたい…
可笑しいだろ…?
笑っちゃうよな…」