イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇



謙人は何か思い出したように、店に置いている花達を見て回った。
首を傾げながら、何かを探しているようだ。
すかさず、オーナーの奥様が声をかける。


「何か、お探しですか?」



「あ、あのふんわりした花束にしたら丸くなる白色の…」



「かすみ草でしょう…?」


奥の方からオーナーが一束のかすみ草を持ってきた。


「あ、はい、これです。
これを貰えますか?」


水田さんとオーナー夫妻は、何だか困惑気味に顔を見合わせる。



「あ、いや、その一束でいいです。
せっかく店に来たので、何か買って行こうと思って…
あ~、あの時みたいに、馬鹿みたいな量は買いませんから」


オーナー夫妻と水田さんはホッとした顔をした。
え? 一体何があったのだろう…?

オーナーはすぐさまラッピングを始めた。
真っ白いかすみ草が映えるように濃紺の和紙を選び、あっという間に爽やか系のかすみ草の花束が出来上がった。
謙人はカードで支払いを済ませると、紙袋に入った花束を恥ずかしそうに受け取った。


「ありがとうございます…
あ、それと、木の実さんを10分ほど借りますね」


謙人はそう言うと軽く一礼をして、店を先に出た。


「あ、じゃ、ちょっと行ってきます」


木の実がそう言って振り返ると、水田さんもオーナー夫妻もそしてお客様も、目をとろんとさせて外を見ている。
イケメンエリート軍団の人間があんなに謙虚で慎ましかったら、そのギャップにほとんどの女性はメロメロになる。
謙人はそういう魅力の持ち主だった。







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