イケメンエリート軍団?何ですかそれ⁇
木の実が謙人の後を追って外に出ると、謙人はモナンジュの隣にある小さなカフェに入っていた。
木の実を見つけると、笑顔で手を振って手招きをする。
奥の二人掛けの丸テーブルに座っている謙人は、もうすでに二つのアイスコーヒーを手に持っている。
「食事とかできればいいんだけど、この後用事が入ってて…
ごめんね、コーヒーでいい?」
木の実は頷く事しかできない。
謙人の頬にできる縦えくぼや、メガネの奥にある大きな切れ長の目は、ジャスティンに夢中な木の実でさえドキリとさせた。
「あの、土曜日の夜の事を謝りに来たんだ…
調子に乗ってズケズケと色んな事を言っちゃって…」
「あ、はい…」
木の実は何も言えなかった。
確かに、謙人の言葉は、木の実の心に今でも根付いていたから。
「あの後、シュウに説教されたよ…
木の実ちゃんは俺らの周りにいる女の子とは違うんだってね。
ゲイだとか、バイだとか、そんな話を普通にできる子じゃないって」
木の実は泣きそうになった。
確かにゲイとかバイとか、何度聞いても耳も頭も慣れてくれない。
「ジャスティンとは?
どうなった?」
木の実は、何も言わないし言いたくなかった。
その問題は人にベラベラ話す事じゃない。
「ごめんね…
今日は謝りたいのと、それと、一つだけ木の実ちゃんに分かってもらいたい事があって…」
謙人はアイスコーヒーを飲み干した。