鬼が往く
沢渡 銀二による傘下の組事務所襲撃。

この情報は、その日の内に殆どの関西明石組構成員の耳に入った。

「沢渡のガキ…ウチの事務所にカチコミたぁ、ええ度胸や」

歓楽街、組傘下の経営する麻雀店で、4人の組員が徹夜麻雀(テツマン)をしている。

「千春さん、沢渡のガキを生け捕りにしたもんには賞金出すちゅう話やで。200万」

「ごっついのぉ、せやったら俺が半殺しにして、千春さんとこに引き摺ってったるか」

下品な笑みを浮かべ、組員の1人が言う。

その組員の後頭部に。

「ぐあっ!」

突如乱入した銀二が、ケンカキックを見舞った。

「お、おどれ沢渡!」

「何しに来くさった!」

組員が一斉に立ち上がる。

「何しに来たはねぇだろ」

銀二は拳を鳴らした。

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