鬼が往く
倒れた神楽坂に、舎弟が駆け寄る。

「オドレ沢渡!汚い手ぇ使いよって!」

銀二を罵る舎弟。

…銀二は何食わぬ顔をして、新しい煙草に火を点けた。

「汚ぇ?ヤクザが寝言言ってんじゃねぇ。喧嘩にルールなんぞねぇ。汚ぇのが嫌なら、足洗ってスポーツ格闘技でもやってんだな」

煙草を吹かしながら、銀二は暗闇の中に消えていった。











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