鬼が往く
銀二の武勇伝はこれだけではない。

2週間前。

新宿で酒に酔った極道と、肩がぶつかったぶつからないで乱闘になった事がある。

極道はそこそこ名の知られていたボクサー崩れ。

本来素人では手も足も出ないような相手だった。

それを銀二は、まず金的で怯ませ、左のストレート1発で黙らせたのだという。

逆上した極道は持っていたドスで襲いかかったものの、銀二は逆に鳩尾に1発叩き込み、極道を頭からショーウィンドゥに叩きつけたという。

目撃者の話だと、『あんなに喧嘩の上手い奴は初めて見た』らしい。

相手が複数だろうが格闘家だろうが、己の腕っ節と周囲にあるもの全てを武器にして倒す。

生来の『流派・喧嘩』の男。

それが沢渡 銀二だった。

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