鬼が往く
歓楽街の真ん中で睨み合う銀二と根津。

道行く人々が、関わり合いになるまいと避けて通る。

「お前の強さは認めたるわ、沢渡。ウチの三強のうち、神楽坂、釘宮と2人抜きした奴は、過去1人もおらん。せやけど、俺には勝てへんぞ?」

「やってみりゃすぐわかるさ」

しばしの沈黙が、2人を支配する。

そして!

「らぁっ!」

銀二のストレート!

殆ど予備動作無しの一撃だったのだが、根津は右手1本で受け止めた。

「ええ拳(もん)持っとるやないけ…手が痺れよったで」

根津は反撃の右拳!

銀二もこれを右手で受け止めるが。

「うらぁっ!」

すかさず根津のケンカキック!

腹に蹴りを食らい、銀二は後退った。

胃液が込み上げて来そうなほどの威力だ。

< 34 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop