鬼が往く
その夜も、銀二はアテもなく歓楽街を彷徨っていた。

人の行き交うガード下を歩いていると。

「ええから俺らに付き合えちゅうてんねや」

この辺りでは聞き慣れない関西弁が聞こえた。

見れば、4人ほどのチンピラ風の男達が、1人の若い女を取り囲んでいる。

日焼けした肌、セミロングの髪の、一見するとギャル風の娘だった。

「めんどくさいのぅ、拉致れや」

4人の中のリーダー格らしき男の指示で、残る3人が強引に女を攫おうとする。

そこへ。

「おい」

銀二が割って入り、有無を言わさず傍にあったビール瓶で、男の頭を殴る!

瓶が砕け散るほどの衝撃に、男の1人が頭を押さえてのたうち回った。

「何じゃワリャア!」

男達が凄む。

「テメェらこそ何だ。余所者が幅きかすんじゃねぇ」

< 4 / 62 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop