秘書と野獣


「…………っ!」

耳朶を食みながら囁かれた一言に、一瞬にして赤く染まった私は膝から崩れ落ちていく。
予想していたかのようにいとも簡単に片手で受け止めると、「ん?どうした?」なんて実にわざとらしく額にキスを落とす。

それはそれは蕩けるように甘く。



あぁ、悔しい。今日も私はあなたに翻弄される運命なのだ。




「 っ、や、やっぱり、ウサギでいいですっ…! 」




全身を真っ赤にしてやっとのことそう訴えた私を、あなたは昔から少しも変わらない大好きな笑顔で豪快に笑い飛ばした。



<Fin>
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