秘書と野獣
「言ってることとやってることが矛盾しまくりじゃんかよ…」
「何か言ったか?」
「いーえ、何も。…わかりましたよ。とりあえずは紹介するのはやめておきます。でも姉貴自身が出会いを求める時には俺は姉貴の気持ちを尊重しますからね。姉貴には幸せになって欲しいっていうのが俺たち兄妹の総意ですし」
「あいつが望めばの話だけどな」
「はぁ…絶対にありえないって思ってるからこその自信ですよね、それ。そこまで言ってて何で認めないのかね、全く…」
「あ?」
「なんでもありませんよ。さぁ飲みましょう」
やれやれとばかりに店員を呼んだ慎二の姿はあいつにそっくりだ。
なんなんだよ、姉弟揃って人を駄々っ子扱いしやがって…
俺はあいつの保護者代わりなんだ。下手な男にあいつを引き合わせることなんてできねぇし、ましてや俺があいつに手を出すなんてことはもっての外。
とにかく、ウサギのことは大事にしたいし幸せになって欲しい。
ただそれだけなんだよ。