秘書と野獣
「…え?」
「え、じゃねぇ。お前はバカか。なんでそういうことは真っ先に言わねーんだよ。ったく、相変わらず遠慮するとこ間違ってんだろ。さっさとお前んちに行くぞ」
ようやく俺の言っていることが理解できたのか、みるみるウサギの目が見開かれていく。
「えっ?! だ、大丈夫です! ほんとに大丈夫ですから! あの子も自分の事はちゃんと自分で出来ますし、単に私が心配性なだけで…ですからほんとにっ」
「俺がいいって言ってんだからいいんだよ。それに、俺だってあいつが気になるしな」
「で、でも、会社に…」
「今日のメインは終わったんだから問題ねーよ。後のことは野上に頼んでおくから何も心配すんな」
「でも…」
「でももだってもねぇ! 社長の俺がいいっつってんだ。お前は少し働き過ぎなくらいなんだ。こういうときくらい黙って言うこと聞け!」