秘書と野獣
学校のある莉緒はそのまま休ませ、ウサギを部屋に連れて行った俺はしばらく様子を見守ることにした。
数時間後には仕事が始まるが、そんなことはどうでもよかった。たとえ徹夜することになろうとも、今はこれ以上に大事なことはない。
スースー寝息を立てて深く眠るウサギの顔をじっと見つめる。
こうしているとまだまだ学生だと言ってもわからないほどにあどけない。
透き通るほど白い肌も、今日は熱のせいでほんのり赤みを帯びている。
こんなに小さな体で、まだこの若さで、全てを一身に背負って踏ん張っているこいつが堪らなく愛おしく感じた。
困った時は頼れと言っても、弱気になった時はいつでも吐き出していいと言っても、決してそうしようとはしないウサギ。
いつでも一人で抱えて、一人で立ち向かっていく。
本当はこんなに弱いくせに。
こんなに脆いくせに。
俺はそんなに頼りないのか?
お前が望むなら、早朝だろうと夜中だろうといつだって助けてやるのに。
どうしてお前はなんでも一人で抱え込もうとするんだよ。