秘書と野獣
***
「…ど、どうしたんですか、これ…」
目の前の光景に、ウサギは驚愕に限界まで目を見開いている。
全身から溢れているのは喜びではなく困惑。手放しに喜んでくれるだなんて思っちゃいなかったが、想定以上の反応に苦笑いするしかない。
「何ってフレンチだけど?」
「いや、それはわかるんですけど…どうしてこんなところに…」
「お前と一緒に食いたいから来た。何か問題あるか?」
「問題って…ない、ですけど、でも…」
「いいから突っ立ってないで座れよ。じゃなきゃ料理が運べないだろ」
戸口にギャルソンが控えていることに気付いたウサギは、尚も戸惑いながらも椅子に腰を下ろす。それを見届けるなりてきぱきとテーブルの上が整えられていく様子を、ひたすらにわけがわからないと言わんばかりの顔で眺めていた。
「じゃあ乾杯するか」
「あ…あのっ! 本当に一体どうしたんですか? 私はてっきりいつもの定食屋さんに行くんだとばかり…!」
「いいからまずは乾杯しようぜ」
「う…はい…」
差し出されたグラスを渋々受け取ると、乾杯という言葉に続いてほんの少し中のシャンパンを口に含んだ。
と、それまで渋面を滲ませていた顔がぱっと明るくなる。
「おいしい…!」
「だろ? あまり酒が得意じゃないお前でもこれならいけるだろうと思ってな。好きなだけ飲めよ」
「ありがとうございます…あの、でも本当にどうしたんですか?」
「何が?」
「何がって…だから、こんなお店に来るだなんて…」
「…ど、どうしたんですか、これ…」
目の前の光景に、ウサギは驚愕に限界まで目を見開いている。
全身から溢れているのは喜びではなく困惑。手放しに喜んでくれるだなんて思っちゃいなかったが、想定以上の反応に苦笑いするしかない。
「何ってフレンチだけど?」
「いや、それはわかるんですけど…どうしてこんなところに…」
「お前と一緒に食いたいから来た。何か問題あるか?」
「問題って…ない、ですけど、でも…」
「いいから突っ立ってないで座れよ。じゃなきゃ料理が運べないだろ」
戸口にギャルソンが控えていることに気付いたウサギは、尚も戸惑いながらも椅子に腰を下ろす。それを見届けるなりてきぱきとテーブルの上が整えられていく様子を、ひたすらにわけがわからないと言わんばかりの顔で眺めていた。
「じゃあ乾杯するか」
「あ…あのっ! 本当に一体どうしたんですか? 私はてっきりいつもの定食屋さんに行くんだとばかり…!」
「いいからまずは乾杯しようぜ」
「う…はい…」
差し出されたグラスを渋々受け取ると、乾杯という言葉に続いてほんの少し中のシャンパンを口に含んだ。
と、それまで渋面を滲ませていた顔がぱっと明るくなる。
「おいしい…!」
「だろ? あまり酒が得意じゃないお前でもこれならいけるだろうと思ってな。好きなだけ飲めよ」
「ありがとうございます…あの、でも本当にどうしたんですか?」
「何が?」
「何がって…だから、こんなお店に来るだなんて…」