秘書と野獣

お前の名前を呼びたいと思っていたのと同じくらい、お前にも俺の名を呼んで欲しいとずっと願っていた。
決して一線を越えようとはしないお前だからこそ、その願いが叶うことは簡単なことではないとわかっていたから。

だから、今こそお前にその名を口にして欲しい。
鈴の音を鳴らしたようなその声で、俺の名を___


「……たけ…る…」


「聞こえねぇ。もっとちゃんと呼べ」

「っ、たけ、る……たけるっ…たけるっ…!」

「____っ、いい子だ。いい子にはご褒美をやらなきゃな」
「あ…ああ、ぁっ…!」

マグマのような熱を孕んだ場所に自分が呑み込まれていく。
それはこれまでにただの一度も経験したことのないような、頭の先からつま先までを稲妻が突き抜けていくようなエクスタシー。

この手に抱きしめるだけで本当に愛しているのかがわかるのだと、このとき俺は身をもって知った。





「華、華っ…! っくっ……! ………華っ…!」





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