秘書と野獣
目を覚ましたら何から話そうか。
夕べの変装のことを問い詰めようか。
それとも愛してるの一言から始めようか。
いずれにしても、夜明けと共に待っているのは俺たちの輝かしい未来。
そう信じていた俺は、連日の疲れとようやく華を手に入れることができたという安堵感に、急激に襲ってきた睡魔に抗うことが出来ず、不覚にも夜明けを目前にして眠りに落ちてしまった。
まさかあいつが逃げるようにこの場から消えてしまうだなんて思いもせず。