秘書と野獣
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寝オチするという大失態に動揺しながら慌てて出社した俺を待ち構えていたのは、全く予想だにしていなかった現実。
「社長、おはようございます。本日はお昼に会食がありますから、午前中のうちにこちらの決済をよろしくお願いします。それから____ 」
目の前でつらつらと予定を説明していく女を前に、俺は一言すら発することが出来ずに頭が真っ白になる。そうして気が付けば目の前にいたはずのウサギはいつの間にか自室へと戻り、部屋に残されたのは尚も呆然としている自分と渡された書類だけとなっていた。
なんだこれは…?
一体どういうことだ…?
らしくもなく激しく混乱しながらも、そのうち嫌でも気付きたくない現実が見えてくる。
___あいつは全てをなかったことにするつもりなのだと。