秘書と野獣
そうして全て予想通りに家から出てきたウサギを捕らえると、暴れ回るあいつを無言の威嚇で黙らせながらつい数十分前までいたマンションへと戻ってきた。当然のようにウサギは激しい混乱の真っ只中にいる。きっと頭の中に入りきらないほどの何故? が飛び交っているんだろう。
だがその答えは実に単純明快なものだ。
あいつの計画以上に緻密な罠を俺が張り巡らせていた、ただそれだけのこと。
「きゃっ?!!」
自宅に辿り着くと迷うことなく寝室へと入っていく。ベッドの上にウサギを放り投げると、すぐに後ろ手で扉に鍵を掛けた。
今日という今日は、何をどうしようとも逃がしはしない。
感情を爆発させて、長年こいつの中に溜まっていた本音を全て暴いてやる。
そうしてお前を呪縛から解き放ってやる。
「____で? こんな夜中にどこに行くつもりだったんだ? ウサギちゃん」
じりじりと距離を詰める俺にウサギの全身から血の気が引いていく。はっきりとわかるほどに体は震え、今にも涙が溢れ出しそうだ。
だがこんなのはまだ序の口だ。