秘書と野獣
「はぁ~、食った食った」
満足げに腹を撫でる俺に突き刺さる鋭い視線。
目の前のテーブルにはすっかり煮焦げてしまった魚が並んでいる。
「まだ何にも食べてませんっ!!!!」
それと一緒に雷が落ちてきた。
「ははっ、悪ぃ悪ぃ。でも俺は満腹感でいっぱいだけどな? それに、お前の腹ん中にもたっぷり____ 」
「~~~~~~猛さんっ!!!!」
「ははははっ!」
顔を真っ赤にして震える姿が身悶えるほどに可愛くて仕方ない。
俺も大概ガキだよなと思いつつも、こんなに可愛い姿を見せられてはついついからかわずにはいられないってもんだ。
夕べも散々抱き潰されたにもかかわらず、ほとんど昼食に近い朝食をとろうと思ったら再び貪り尽くされたともなれば…まぁこいつの言い分も尤もなものだ。
「もう! ほんとに…どうしてあんなに体力があるんですか…っ」
「体力っつーか、お前といると理性が効かなくなるんだよな。お前、なんか変なフェロモンでも出してるだろ?」
「だ、出してませんっ!」
「いーや、この俺をここまで骨抜きにできるなんざただ者じゃねぇ」
「もうほんと、何言ってるんですか…」
紆余曲折を乗り越えて晴れて夫婦となった俺たちには、こんな調子で毎日が笑顔で溢れている。