秘書と野獣
「え……子ども…?」
「ねぇ、やっぱりそうなんでしょう? 私もそうだったからわかるもん!」
「…本当なのか?」
ウサギを見る限り、決して寝耳に水という様子には見えない。問いかけに、右に左に忙しなく瞳を動かしながら戸惑いがちにゆっくりと俺を見上げる。
「あの、もしかしてって思ったのが夕べのことで…だから、まだはっきりとは…」
「_______病院に行くぞ」
「……えっ?」
すくっと立ち上がった俺にウサギも莉緒も呆気にとられている。
だがこんなことをしている場合じゃねぇ。
「すぐに病院に行って確かめよう。式なんかキャンセル料でもなんでもいくらでも払ってやる。またお前の体調が落ち着いた頃にあらためてやればいいし、あぁ、こんな体を締め付けるドレスなんか着たら___」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいっ!!!」
「あ?」
ひしっとウサギの両手が俺のタキシードの裾を鷲掴みする。