秘書と野獣
「だ、大丈夫ですから! ほんとのほんとに大丈夫ですから!!」
「いや、万が一何かあったら___」
「自分の体のことは自分が一番わかってます! もし本当に妊娠してたんだとしても、こんなことは普通だろうし、そもそも病人じゃないですから!」
「でも____」
「ふふっ、進藤さん、おねえちゃんの言う通りですよ。妊娠初期は気分が優れないことは多いですけど、それは多くの人が通る道ですから。見たところ我慢できない感じじゃないですし、お腹に負担をかけないように過ごして、全てが終わってからゆっくり病院に行くので充分だと思いますよ。病院に行っても妊娠してるかがわかるだけで何かしてもらえるわけでもないですしね」
「だが…」
「猛さん、せっかく皆が与えてくれた今日という日を大事にしたいんです。本当に、無理なんてしてませんから。終わったらちゃんと病院に行きますから。だからこのまま予定通りにさせてください…!」
「……」
うるうると大きな瞳を潤ませてねだられてはお手上げだ。