秘書と野獣


「あ…でも」

ふととあることが脳裏に過ぎる。

「なになになにっ?! 何かあったっ??!!」

途端にキラーンと目を輝かせた莉緒に苦笑いするしかない。

「ケンカじゃないんだけど、まぁちょこっとした言い合い? みたいなのになったことがあるなぁって思い出して」
「何それ?! それそれ、そういうのが聞きたいのっ!!」
「でもあれだよ? 莉緒が想像してるようなケンカとかじゃなくて、ほんとにちょっとしたことっていうか」
「いいのっ! 教えて教えて~!!」

一体何が妹をここまで食い気味にさせてるんだかと呆れつつも、そういえば昔から芸能人なんかのゴシップネタが大好きだったなと思い出す。

まぁ、ほんとに大した話じゃないんだけど。



「3週間くらい前にね、仕事でパーティに出席したんだけど____ 」


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