秘書と野獣
作戦決行
「…よし、本当に最後の仕事だ。気合入れっぞ!!」
扉の前でパンッ!! と頬を両手ではたき込むと、ビリビリと響いた痛みが私の心ごとシャキッとさせてくれた。
これから向かう先での仕事を終えたら私はこの街から出て行く。
その先どんな未来が待っているかはわからないけれど、今はとにかく最後まで自分のやるべき事を全うするだけ。
最後まで秘書としての宇佐美華らしくあるだけ。
ただ、それだけだ。
「失礼します。社長、準備はお済みになりましたか___」