秘書と野獣




……………………え………?



な、に…?


どういう、こと…?

なにが、どうなって、る、の…?






「____ようウサギ。こんな夜遅くにそんなに急いでどこに行くんだよ?」






……違う。
これは幻影だ。幻聴だ。

そうだ。そうに決まってる。



そうだと言って。



だって、彼がここにいるはずがないのだから。
あんなにベロンベロンになっていた彼が、一瞬のうちに目の前に立っているなんてことはありえない。

絶対に、そんなことはありえるはずがない。



そう必死に自分に言い聞かせている私を尻目に、目の前のここにいるはずのない幻影は、いかにも楽しそうにニヤリと笑って見せた。

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