秘書と野獣



私は愛する人に求められた。


けれど彼が求めたのは「ナナ」であって私ではない。



ずっと見て見ぬふりをし続けた現実を、彼は最後の最後に私に思い知らせたのだ。



あれだけ昂ぶっていた体が一瞬にして凍り付いていく。









私はこの夜、女としての喜びと絶望を一度に知った。






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