秘書と野獣
「ふ…ウサギはおねだりじょうずだな。可愛すぎてこの先が思いやられるが…まずはいい子にご褒美をやらなきゃな」
「ん…あっ…!」
貪るように唇を奪われながら、燃えるような熱が私に触れた。
やがて微かな痛みと共に私の体を貫いていく。
「あ、あぁっ…!」
「くっ、やっぱまだきっついな…。なるべくゆっくりするけど、痛い時は言えよ?」
獰猛な獣のようで、本当のあなたはこんなにも優しい。
その優しさに触れる度に、私はもっともっとと貪欲になっていく。
「いい、の…好きにして、くださいっ…」
「……っ、バカ、んなこと言ったら止まらなくなるぞ?」
「いいっ、やめないで……あなたが、欲しいのっ……あぁっ!!」
緩慢な動きだったそれが一気に私の中を埋め尽くす。
もう二度と触れることはないと思っていた彼が、私の中にいる。
「はっ…バカだな。獰猛な獣は遠慮なく大好物のウサギを骨の髄まで食べ尽くすからな?」
そう言ったあなたの顔にはいつもの余裕はなくて。
時折苦しそうに、泣きそうに顔を歪めながら優しい眼差しを注いでくれる。
まだ痛みを伴うこの行為も、この人から与えられるものなら全てを受け止めたい。
その痛みすら、やがて喜びへと変わることを知ってしまったから。
ただただ、あなたの全てが、愛おしい_____
やがて歓喜の瞬間が訪れる。
2人で全身を震わせ、きつく抱きしめ合った体には寸分の隙間すらない。
心地よい余韻にうっとりする…暇もなく何故かすぐに私の体は反転させられた。
「えっ…?」
慌てて振り返ると、笑みを浮かべる社長の瞳の奥に真っ赤な炎が見えた。
「言っただろ? んなこと言ったら止まれねーって」
「えっ…えぇっ?!」
「お言葉にたんまり甘えて宣言通りお前を食べ尽くしてやるから、覚悟してろよ?」