秘書と野獣



『 やーーーっとまとまったの?って感じだよね、ほんと。進藤さんの結婚宣言は確かにびっくりしたけど、正直私はその相手がおねえちゃんだって信じて疑わなかったし。それなのにおねえちゃんってば一人でどんどん暴走しちゃうしさぁ。全然聞く耳持たないし、どうしようかと思ってたら進藤さんが婚姻届持ってやって来たでしょ? もうキャーーーーって興奮したよね~! かと思えば相変わらずおねえちゃんは夜逃げするとか言い出すし、もー、ほんっとお騒がせなんだから。

だいたいさ、私はずっと前から気付いてたんだよね。4年くらい前だったかなぁ、おねえちゃんがダウンしたときがあったでしょ? 私もまだ学生で咄嗟のことにどうしていいかわからなくて___。

そしたらまるでヒーローのように進藤さんが現れてさ。血相を変えてぐったりしたおねえちゃんを抱きかかえて病院に連れて行ってあげて…。あの時はほんっとかっこよかったぁ~!

しかもしかもだよ?! 私見ちゃったんだよね。家に帰ってしばらく看病してるとき…進藤さん、寝てるおねえちゃんにキスしたの。愛おしくてたまらな~いって蕩けるような顔してさ。あんな顔するくらいだもん、おねえちゃんに本気なんだって誰でも気付くよ。

それなのにそれから何年経ってもなんの進展もないでしょう? もう見てて焦れったいったらなかったんだから!


でもまぁ、ちゃんとおさまるべきところにおさまってめでたしめでたしだね! 』




曰く、妹の弁はこうで。

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