誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
『調和』という能力を得た第一神賢者 剣城真琴と、体内から武器を生み出す使徒 ビビ。
そんな異質コンビだからこそ、護り屋という仕事が全う出来ているんだと思う。
「今日は、あの子たちに任せてあるんだっけなぁ。
それから、何か考えないと。」
〈あの2羽なら大丈夫でしょう。
仕事もいいけれど、学生でもあるんだからね?〉
「分かってるさ。」
なるべく、両立はしてみようかな。
そうやって俺が欠伸を1つしかけた時だった。
「で、昨日あのヒョロヒョロしたヤツから金巻き上げてよぉ!!」
「ギャハハハ!!!!」
「またやったのかよ!!!」
耳障りな声がしたと思ったら、上級生と思わしき不良が3人やってきた。
〈真琴、あの煩いのは何かしら?〉
(無視だよ、無視。)
あぁいうのに絡むとろくなことがない。
「あぁ?何かフード被ってるヤツがいるじゃねーか!!」
「新入生かぁ?巻きあげようぜ!!」
「なぁ、そこの1年。
ちょっと財布出してもらおうか?ギャハハハ!!」
やっぱりこうなるか……。
ギリギリまで無視を決め込んでいたけれど、覗き込まれたり周りをチョロチョロされたら流石に無視も出来ない。
「聞いてんのか!?
金出せって言ってんだよ!!」
「チッ、1人になれると思ったのに……。」
本当に最悪だ。
「あんたたちに渡す金なんかない。」
「あんだと!?
フード被って顔隠してる恥ずかしがり屋ちゃんに、んなこと言われたくねぇんだよ!!!」
「さっさと言う通りにしろや!!」
「ボコボコにすんぞ!!あぁ!?」
プチッと自分の中で何かが切れる音がした。
〈あらあら、地雷踏んじゃったわね。〉
そういってビビが俺から離れるのが分かった。
「誰が恥ずかしがり屋ちゃんだって?
テメェらみてぇな顔もろくに見せられねぇ作りしてるクズに言われたくねぇんだよ。
ボコボコにすんぞ?上等だ、やってみろ。
ブンブン飛び回ってるハエなんか、数匹揃ったって握り潰してやる。」
だから学校は嫌なんだっつーの。
〈私の力、いるかしら?〉
「こんな雑魚に使うまでもない。」
例え100匹いたって雑魚は雑魚だ。
そんなヤツらに能力を使う方が効率悪い。
「んだとオラ!!!」
「ぶん殴ってやるっ!!!」
「潰されんのはテメェだ!!!」
デカイ声で吠えときながら3人で突っ込んでくる。
こんなの、1人掴んで吹っ飛ばせば全員飛んでいくんだよ。
ガシッ
「な……っ!?」「ぅわっ!!!」
ホラ、こんな風にね。
「はい、ストラーイク。」
「クッソがっ!!!」
殴りかかろうとしてくる1人の背後に回り、回し蹴り。
その隙に左右から迫ってきていた2人には
1人は肘打ちをし、もう1人は顎を蹴り上げる。
連携したって無駄。
1人でかかってきても無駄。
「さぁ、そろそろ仕上げといこうか。」