誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「高校生活1日目からサボろうなんて、楽は不良だね。」
「えぇー?元はと言えば、昨日の入学式に来都くんと桜悠くんが出席してなかったのがいけないんでしょー?
ていうかぁ、不良は僕だけじゃないじゃん!
来都くんと桜悠くんだって充分不良でしょ!」
「そんなことないよ。ねぇ、来都?」
「……あぁ。」
「もう来都くんどうでもいいみたいになっちゃってるじゃん。」
「……どうでもいいからな。」
授業中で静かな廊下を3人の男が歩いている。
2人より身長が小さくショッキングピンクのメッシュの男は、1年生。
モスグリーンのメッシュの男と黒髪の男は2年生のようだ。
3人とも授業をサボったのが目に見えて分かる。
「ねぇー、どこに行くの?」
「屋上だよ。あそこはいつでも空いてるからね。」
「やっぱり屋上って定番なんだねぇ。」
廊下を歩いているのは3人しかいない……と思っていたら、不意に前から人が歩いてきた。
フードを深く被っていて、肩に……。
(ネコちゃん?)
(猫……かな?)
(……。)
肩に何故か猫を乗せている男は、1度も顔を上げることなく颯爽と3人の横を通り過ぎていった。
「変わった人だったねぇー。
あの人もサボってたのかなぁ?」
「屋上とかがある方から来たみたいだった。
昨日の子かな、来都。」
「……同じヤツだ。」
「なになにぃ?2人とも知り合いなの?」
「昨日も屋上にいたんだよ。
ちょっと気になっててね。
多分、1年生だよ。」
「え!?僕と同じ学年なのー!?」
さっきの男の話をしながら屋上まで行った時……。
「……これ、なんだろうねぇ。」
「すごいね……。」
3人が目にしたのは、フェンスに繋がれている傷まみれの上級生3人だった。
「誰がやったのかなぁ。」
「……さっきのヤツだろ。」
「えぇー、あのフードの人が!?」
「ハハッ、やっぱり面白い子だね。」
極めつけは……。
「何で手錠?しかも……。」
「なになにぃ?
"私たちは自分より弱い人から金を巻き上げているクズです。"
……プッ、この人たちそんなことしてたのーっ!!」
上級生の前に置かれている3人分の財布に、デカデカと黒ペンでそう書かれていた。
油性だからきっと落ちないだろう。
「……何者だ、あいつ。」
もう3人の中では、あのフードの男は気になる存在になっていた。
3人の男とフードを被り猫を連れた男。
この先、この4人がどう絡んでくるのやら。