誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「揺れてる……ッ?」



倉庫がものすごい震度で揺れ始めた。



「これ……真琴が……?」



止まることを知らない揺れに、倉庫内に積んである荷物が崩れ始めた。



「楽、桜悠、下がれ!!」



「これが剣城真琴の真の力か。
フハハッ、面白いッ!!」



巻き込まれないように退避したが、煙で視界が奪われた。



俺にはどうすることも出来ないのか。



俺はどうあいつを救ってやればいい。



「来都、真琴は…………。」










煙が風で流されていくうちに視界は回復したが、中央……真琴を護るように"塔"が生まれていた。











「The Tower……塔、デスか。
とてもいいカードデスね。
お陰で美しい女性を護ることが出来マシタ。」



靴を鳴らしながら乱入してきた来訪者。



「貴方を私は呼んだ覚えがないのだが?」



「呼ばれた覚えもアリマセン。
ですが、女性の悲しい叫びが聞こえたモノで、参上しないわけにはいきませんデシタ。」



この場にそぐわない微笑みと、その反対にあの絶大な力。



「あの人、もしかして……。」



「……だろうな。」










「申し遅れマシタ。
英国からやって参りましたしがない旅人……第七神賢者、レムナント・カイ・アルベルトと申しマス。
カイとお呼びクダサイ。
そしてこちらはマイレディの笑真(エマ)デス。」



胸に手を当て一礼したカイと、
胸元のポケットで同じ仕草をするハムスター。



これが……最後の神賢者。



「そんなことより……ッ、真琴はどうなったの!?」



楽の言葉で、思考を引き戻した。



目をやると、未だ微動だにしない塔。



「彼女は私の塔の中で眠り姫のように眠っておられマス。ご安心を。
そして……彼女は一度私がお預かりいたしマス。」



預かる……?



「それは困るな。
私はその女に復讐しなければならない。」



「ならば、最高の形で決着をつけてはいかがデスか?
英国では双方が素晴らしいコンディションでデュエルをするものデス。」



「で、でもー……そんな知らない人に真琴を預けるのも……。」



楽の言う通りだ。



カイが真琴にとって善なのか分からない状態じゃ、気安く渡すわけにはいかない。


< 126 / 182 >

この作品をシェア

pagetop