誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「お言葉を返すようですが……今のあなた方に彼女のそばにいる資格がアリマスか?」
鋭さを増した視線に、俺たちは何も答えられない。
それもそうだ。
この状況を作ったのは俺たちでもあるのだから。
俺たちが、真琴を壊したんだ。
「私は女性には最高のおもてなしをすることを心がけてイマス。
少なくとも、今のあなた方よりかは随分とイイでしょう。
今のあなた方は……彼女を傷つけるだけデス。」
その言葉に、胸を鷲掴みにされたような気がした。
分かっていたことだ……。
覚悟もしていたはずだ……。
だが、人に言われることほど……くるものはないな……。
「……よろしく頼む。」
「来都くん……。」
「……真琴にとって今一番大事なのは、俺たちから離れることだ。」
カイが塔に触れると、塔は光の粒となって消え、中には横たわって眠っている真琴がいた。
そっと抱き抱え、出ていこうとしたところで……何を思ったのかふと振り返って言った。
「あなたのマイレディ、少しお借りシマスね。」
マイレディ……。
それは違う。
真琴は……俺のものじゃない。
初めて会った日からずっと……兄さんのものだ。
去っていくその姿を、永遠と見つめ続けた。
その役目が自分だったらどれほど良かったかと、有り得ることのない夢を描きながら。
end