誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「……心配すんな。あの人たちなら大丈夫だ。」
「……そうだね。」
階段を登りながら、大丈夫だと心に言い聞かせる。
カイさんもいる。
燐理と由樹さんだって弱くなんかない。
絶対、大丈夫。
登りきった先に見えたのは、大きなホールだった。
「キキキッ、ねぇ黒(クロ)。
お客さんの登場だね!!」
「クククッ、そうだね白(シロ)。
随分大物がきたね!!」
ホールの真ん中にいたのは、身長より随分と大きい鎌を携える2人の少年。
「チッ、なんであいつらがここにいるんだよー……。」
「……誰?」
「白と黒、殺し屋兄弟のことだよ。
俺たちと同じ組織にいたとは思うんだけど、会ったのは今日が初だね。」
兄弟……。
確かに、服も背丈も喋り方も、ましてや武器までそっくり。
「キキキッ、やっと夢が叶うね黒!!」
「クククッ、そうだね白。
これでやっとblackkillersをぐちゃぐちゃに出来るね!!」
来都たちを?
「キキキッ、夢だったんだ!!
僕たちの尊敬し憧れるblackkillersを、」
「クククッ、僕たちでぐっちゃぐちゃに潰したらどんな色が出来るかなって!!」
「……狂ってる。」
この兄弟は完全に堕ちている。
死を自分の手で人に授けることに興奮と喜びを感じている。
こいつらには……言葉なんか通じない。
私が一番嫌いな人種だ。
「真琴、ここは僕たちがやるよー。」
「俺、こいつらのこと嫌いだから1回ぶっ潰してやりたいって思ってたんだよね。」
私と来都の前に立ち塞がるようにして立つ桜悠と楽。
その背中に、私はもう止める言葉はかけない。
「……ねぇ、桜悠。
あの日……桜悠が言った言葉、覚えてる?」
【仲間が俺に手を差し伸べてくれたあの日に戻れるのなら、俺はその手を取ることはなかったのに……。】
あの日の悔いるような表情をした桜悠は、今でもいるんだろうか。
どうしてか、確かめたくなった。
「……桜悠は、今でもそう思ってる?」
「……ううん。もう思ってないよ。
その手を取ったから、俺は今こうして真琴たちに囲まれて過ごせることを知ったから。」
その答えを聞いて、安心した。