誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「……心配すんな。あの人たちなら大丈夫だ。」



「……そうだね。」



階段を登りながら、大丈夫だと心に言い聞かせる。



カイさんもいる。



燐理と由樹さんだって弱くなんかない。



絶対、大丈夫。



登りきった先に見えたのは、大きなホールだった。










「キキキッ、ねぇ黒(クロ)。
お客さんの登場だね!!」



「クククッ、そうだね白(シロ)。
随分大物がきたね!!」



ホールの真ん中にいたのは、身長より随分と大きい鎌を携える2人の少年。



「チッ、なんであいつらがここにいるんだよー……。」



「……誰?」



「白と黒、殺し屋兄弟のことだよ。
俺たちと同じ組織にいたとは思うんだけど、会ったのは今日が初だね。」



兄弟……。



確かに、服も背丈も喋り方も、ましてや武器までそっくり。



「キキキッ、やっと夢が叶うね黒!!」



「クククッ、そうだね白。
これでやっとblackkillersをぐちゃぐちゃに出来るね!!」



来都たちを?



「キキキッ、夢だったんだ!!
僕たちの尊敬し憧れるblackkillersを、」



「クククッ、僕たちでぐっちゃぐちゃに潰したらどんな色が出来るかなって!!」



「……狂ってる。」



この兄弟は完全に堕ちている。



死を自分の手で人に授けることに興奮と喜びを感じている。



こいつらには……言葉なんか通じない。



私が一番嫌いな人種だ。









「真琴、ここは僕たちがやるよー。」



「俺、こいつらのこと嫌いだから1回ぶっ潰してやりたいって思ってたんだよね。」



私と来都の前に立ち塞がるようにして立つ桜悠と楽。



その背中に、私はもう止める言葉はかけない。








「……ねぇ、桜悠。
あの日……桜悠が言った言葉、覚えてる?」



【仲間が俺に手を差し伸べてくれたあの日に戻れるのなら、俺はその手を取ることはなかったのに……。】



あの日の悔いるような表情をした桜悠は、今でもいるんだろうか。



どうしてか、確かめたくなった。



「……桜悠は、今でもそう思ってる?」



「……ううん。もう思ってないよ。
その手を取ったから、俺は今こうして真琴たちに囲まれて過ごせることを知ったから。」



その答えを聞いて、安心した。



< 152 / 182 >

この作品をシェア

pagetop