誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



ガチャ



「あぁー!!やっぱりここにいたー!!」



屋上に入ってきたのは今泉……と2人の男。



誰だ、あいつら……。



「来都(ライト)くん!!桜悠(サユ)くん!!
この子が剣城くんだよー!!」



「楽が言ってた友達ってあの子だったんだ。」



「……へぇ。」



楽の……仲間?



間が悪いんだよホント……。



今泉たちがいる屋上より高い貯水タンクの上に立っているから、近づいてこられることはないけれど。



「君、入学式の時もここにいたよね?
俺たちが来た時に丁度ここから飛び降りる所を見たんだけど。」



あの時誰かが入ってきたのは感じたが、コイツらだったのか。



「この間も授業サボってたよね?
俺たち、廊下ですれ違ったんだけど。」



サボるやつなんていくらでもいるだろ。



「ねぇ、君
「……おい。」」



3人の中でもあまり喋らなさそうな奴が俺を見上げていた。



それも……、


(……ッ!)


殺気つきで。



こいつの瞳、完璧に俺を敵として見ている。



この殺気の量、ただの高校生じゃないな。



「……顔、見せろ。それと、降りてこい。」



「……そこのモスグリーンメッシュのヤツ。」



俺に質問攻めしてきたヤツを指さす。



「俺のこと?」



「……まず1つ目の答え。
俺は入学式をサボったからここにいた。
飛び降りたのは、階段を使うのが面倒だったからだ。

そして2つ目の答え。授業もサボった。
というか、今日が入学してから初の授業だった。

結論。俺は昨日初めて今泉に会った。
別に友達でも何でもない。」



勢いでまくしたて、2人の瞳が点になっているのは無視する。


「……それと、そこの黒髪。」



「……。」



「さっきの言葉遣いは人に命令する時に使うものだ。
俺はお前に命令される筋合いはないし、従う筋合いもない。
それと、フードも取らないし、お前らがそこにいる限り降りない。」



少なくとも、殺気を向けてくる相手の前に誰がノコノコ近づくか。



「……じゃあ、どうやって帰るんだ?」



屋上の出入口はあの3人の後ろにある1つだけ。



だが、生憎ここは外だ。



入口は1つしかなくとも、出る所などいくらでもある。



「少なくとも、その扉を使わなくとも帰れる。」



「だって来都くんたちが初めて見た時は飛び降りてたんでしょー。
だったら真琴はいつでも降りれるってことじゃないの?」



「あ、そっか。そうだったね。」


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