誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。



「君も噂通りだねぇ。
ボク達の邪魔をする偽善者。
大人しく退いてもらってもいぃかなぁ?」



『……断る。』



「ふぅん?ならぁ、さっさと終わらせようかなぁ!!」



向こうはヤル気満々みたいだ。



『ビビ、その人をよろしく。』



〈了解したわ。武器はどうする?〉



『……剣1本でいい。
アイツらに奥の手を見せるのはリスクがある。』



〈そうね……。気をつけて。〉



『ありがとう。ビビもね。』



ビビから剣を受け取り、黒鮫と向き合う。



「あ、あの……!!無茶しないでくれ……」



『……ありがとう。
依頼主も俺も無事に終わらせる。』



「今から殺されるヤツがwhite castleの心配をするなぁんてねぇー!!
自分のせいでこの子が死ぬかもしれないのにぃ!!」



小バカにしたような口調でそう言う黒鮫。



あんな優しい人をバカにするなんて、本当に殺し屋はクズだ。



『殺される?
俺が依頼主を護れなかったことなど……ないっッ!!』



第一撃に素早く斬り掛かるが……。



「……っ!!へぇー、意外と速いんだねぇっ!!」



流石と言うべきか、短剣で受け止められる。



『お前は短剣なんだな。』



「そういう君は片手剣なんだねぇ。」



同じ剣だが、リーチの長さは俺の方がある。



だが、小回りで言うなら短剣の方が優位。



しかし、俺にとっては、そんな常識なんか通用しない。



優位なのはいつだって自分でなければいけない。



キンッ!!!キキャキャンッ!!!キキンッ!!!



相手の攻撃を避けてはすぐ反撃し、また相手の攻撃を避けるの繰り返し。



激しい攻防戦が続いた。



「ふふふっ、流石誰かを護ろうとする仕事をしてるだけはあるねぇ!!」



『……そりゃどうも。』



「だけどぉ……やっぱりそれは所詮ただの自己満足なんだよねぇっ!!」



何か仕掛けてくる、と思った時には、黒鮫は懐から銃を取り出していた。



銃口が向けられている先は……依頼主。



「誰も短剣だけしか持ってないとは言ってないからぁ……バァイバーイ!!!」



バンッ!!!!!と発砲される音がした。



黒鮫は勝ったと思っただろう。



普通ならこれでチェックメイトだ。



だが、勝ったと思って油断してしまったその隙に背後に回り込む。



なぜなら……。










ガキンッ!!!!!



「え……っッ!!??」



鉄壁の陣が銃弾から依頼主を護ってくれるから。



『俺の……勝ちだ。』



剣を振り上げ、黒鮫の右肩を斬りつけた。



「ウワ"ア"ァ"ァ"ァ"ア"ッッッッーーー!!!!!」


< 20 / 182 >

この作品をシェア

pagetop