誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
お昼は変わらず屋上。
その扉を勢い止まることなく、今泉が開け放つ。
うん、ちょっとは手加減しようか。
「ねぇねぇー!!今日は真琴も一緒に食べるってぇ!!」
屋上には、もう既に志浪と伊佐波がいた。
「凄いね。まさか来てくれるなんて思ってもみなかったよ。」
俺はその言葉を見事にスルーして、今泉に促されるまま座る。
俺は、ビビのご飯を出してあげて自分のもコンビニ袋から取り出す。
「……それだけか?」
急に話しかけられてびっくりした。
今日はびっくりしまくりの1日。
俺の手にはコンビニで買ったメロンパン。
「……別にお腹空いてないから。」
「……そうか。」
そう言うと、志浪はまた黙り込んだ。
……なんだったんだ?
「珍しいね。来都から人に話しかけるなんて。」
「……そうでもないだろ。」
「それに、今日は真琴もよく喋るね。」
「……なんで俺、呼び捨て?」
流石にそこまでは仲良くなってませんが。
「さっき廊下でも告白されちゃったしねぇー!!」
「……だから、違うって。」
「へぇ、真琴ってそういう系だったんだ。」
「……話を聞いて、頼むから。」
この2人、人の話を聞かない天才か?
でも、自分でも今日はよく喋ってると思う。
何というか言葉が勝手に口からついてでる。
浮かれてる……んだろうか。
今までにはないこの関係に。
もしそうだとしたら、そうなったきっかけは分かってる。
由樹さんと近い関係になることを、心が許してしまったからだ。
1回開きかけた扉を閉めるのは、容易ではない。
そんな開きかけの扉の隙間にこの3人が入ってきたんだ。
引き返すなら……今。