誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〜第1章〜
今日はある高校の入学式。
体育館を覗いてみれば、多くの在校生と新入生で溢れている。
寝ている人がチラホラ見れるのは、校長の話が長いからだろう。
「話長いなぁ。
早く来都(ライト)君と桜悠(サユ)君に会いたいのになぁ。」
そう不貞腐れているのは髪にショッキングピンクのメッシュが入った男。
胸の造花を見る限り、新入生だろうか。
「えぇー、では1年生諸君。充実した生活を送ってくれたまえ。」
校長のスッキリとした顔とは裏腹に、生徒の顔はゲンナリしていた。
どこの学校も校長の話は長いものだ。
「それでは続きまして、新入生代表挨拶。」
入試成績トップだった男。
男と決めつけるのは、ここが男子校だからだ。
誰もが気になる新入生代表。
「新入生代表、剣城 真琴(ツルギマコト)。」
その人物は……
「えぇー……、剣城ーっ!?剣城はいないのか!?」
姿を現さなかった。