誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〜第2章〜
季節は過ぎ、高校生になってから早くも1ヶ月が経ち、5月となった。
「ねーぇー、そろそろゴールデンウィークだねぇー!!」
「楽、さっきからそればっかだね。」
「こんなにアピールしてるのに気づいてくれないの!?
桜悠くん本当に悪魔だよねぇ!!」
「ハハッ、誰が悪魔だって?」
場所は変わらず屋上。
喋ってる人も変わらず2人。
天気も変わらず晴れ。
そんな変わらずの中に、1つだけ変わったものがあるとするなら。
それは、俺とビビが輪にいることだろう。
3人が、4人と1匹になった。
そのきっかけはやっぱりあの日、楽に連れられて行った昼食。
あの日から今泉は余計に引っ付いてくるようになり、それに……悪い気はしなかった。
そう。俺は……引き返さなかったんだ。
ただこの3人に流されてみようか、というほんの少しの気まぐれ。
その思いも流れ続け、今日にまで至る。
相変わらずあまり喋る方ではないけれど、話しかけられれば反応するくらいにはなれた。
「だぁかぁらー!!ゴールデンウィークだよ!?
休みじゃん!!暇じゃん!!遊ぼうよ!」
「誰が暇なんて言ったの?
この間、予定があるって話をみんなでしたじゃないか。」
「えぇっ!?そうだったっけっ!?」
あたふたしながら俺と志浪、伊佐波を交互に見やる今泉。
もちろん、俺と志浪は無言。
伊佐波は……これでもないっていうくらい笑顔。
「も、もしかして……嘘……!?」
「クククッ、楽はすぐ騙されるから面白いよ。」
「もー!!みんなしてそうやって僕だけ笑い者にしてぇー!!」
いやいや、みんなじゃないでしょ。
「……俺はしてない。」
「……同感。」
ほら、志浪も言ってる。
俺と志浪は、あくまで伊佐波の被害者じゃないか。
〈何でこう楽はうるさいのかしら。
多分とかじゃなくて、本当のバカなのね。〉
猫であるビビにまでそこまで言われてる今泉って……。
「……なんか、ビビちゃんにまでバカにされたような気がする……。」
〈雰囲気で察してくれて嬉しいわ。〉
これは、可哀想としか言いようがないね。
「でもさぁ、冗談抜きで遊び行こうよー!
じゃないと高校生としてどうなのさぁー!」
「まぁ、確かにね。特別やることもないし。
来都と真琴は?」