誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「まままま、真琴が……っ!!」
「フード取ってくれたんだね。」
2人も気づくと、近づいてきてまじまじと見つめられた。
「……ち、近い。」
改めて間近で見られると緊張する……。
「やったぁ!!!!」
突然、今泉が抱きついてきて、その勢いで地面に背中を打った。
「……ちょっ、今泉……っ!」
「……て……、」
「……え?」
耳元で呟く今泉の言葉が聞き取れなくて、聞き返した。
「だって、やっと近づけた気がしたんだ……っ。
この1ヶ月、真琴は僕たちといて楽しくなかったんじゃないかって。
僕が、無理やり連れてきたから……。」
そんなことない。
楽しかった。
そして、それを俺は良しとした。
最終的には、自分で3人といることを決めたんだ。
今泉がそんなこと言う必要ない。
「……違う。
今泉が連れてきてくれなかったら、俺は……。」
この思いに気づくことはなかった。
今まで通り、ずっと1人だった。
「……今泉のお陰で、俺は楽しいよ。
前にも言ったじゃないか。
"話してる時の今泉は好きだよ。"と。」
あの言葉に嘘はない。
「う……ぁ、うわっあぁ、ぁぁあっ!!」
顔をうずめ泣く今泉の頭を撫でる。
さっきの志浪のを見よう見まねで。
俺は……これで少し安心したから。
「ごめんねぇ。」
「……いや、俺のせいだし。」
「楽が泣くなんてね、余程真琴を気に入ってるんだね。」
「当たり前じゃん!!ねぇ、来都くん!」
「……あぁ。」
3人から向けられる感情が、むず痒い。
でも、嬉しい気分になる。
「……ありがとう。今泉も伊佐波も、それに志浪も。」
「こちらこそだよぉー!!」
「そうだね。でも、ちょっと気に食わないかな。」
何か気に触ること言っただろうか?
「その呼び方だよ。
名字じゃなくて、俺は名前で呼んでもらいたいな。」
「そうだよ!!僕も真琴のこと名前で呼んでるしー!!」
名前、か……。
あまり気にしたことはなかった。
「ほら、呼んでみて!!」
「……楽……?」
「俺は?」
「……桜悠。」
呼ばれた途端、ニコニコし出す2人。
「……。」
「来都。」
名前を呼ぶと、志浪ー来都はさっきと同じように頭を撫でてくれた。
「フフフフ、やったねぇー!!」
「……楽、はしゃぎすぎ。」
「だってぇー!!」
3人と過ごすこの時間は、悪くない。
少なくとも俺の中では、そう思えるほどになっていた。
〈まさか真琴がここまでするとは思わなかったわ。良かったじゃない。〉
(ただの、気まぐれ……だよ。)
〈ふふっ、照れちゃって。〉
(照れてないっ!!!)
どこかビビも嬉しそうなのは、気のせいだろうか。
もしかしたら、これもビビの策略だったりして……。
まぁでも、それはそれでいいかな。