誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
『ビビ、俺だけじゃ届かない!!
この街にいる従者にテレパシー繋げるかッ!?』
〈えぇ!!ただ、繋げられるのは30秒くらいよ!!〉
『充分……ッ!!』
ただひたすらに念じる。
頼む、届いてくれ……。
〈繋がったわよ!!〉
(私は護り屋のwhite castle!!
無理な事は重々承知です……!!
ただ、私の護らなければいけない人のために、みんなの生命力を分けてくれ……ッ!!
お願いしますッ!!)
この術は使ったことがない。
だけど、ビビから3大奥義として聞かされてはいた。
黒鮫を助けるには……コレしかない。
『頼む……頼むから……ッ!!』
手をあてている部分からは淡い光がユラユラと揺れている。
頭の中から街中のみんなの生命力が流れてくる。
だが、腹部からは未だに血が流れている。
まだ足りない……ッ。
でも、1人につき多量の生命力を奪うことは出来ない……。
「なァ……お前が何してンのか分からネェが、まだ足りねぇンだろ?
だったら……俺のは全部持ってけ。」
そう言って黒豹は私の手に両手を重ねた。
その瞬間増す、光の輝きと量。
『だが……、』
「コイツは俺を庇ったからこォなった。
こんぐらいすンのは当たり前だろォが。」
『……分かった。』
殺し屋のくせに……。
せめてもっと残虐で愚かな奴らだったら、私もこんな気持ちにはならなかった……。
黒豹から傷口に向き直った時……横から新たな手が出てきて私たちのとソッと重なった。
「俺のも全部持っていけ。」
誰だかなんて一瞬で分かった。
光はどんどん膨らんでいく。
『……黒豹、黒蜥蜴(クロトカゲ)。
こんなこと、今回だけだからな。』
私のつけた傷のせいで死ぬのは後味が悪い。
こんな楽になど死なせない。
無理やり自分を納得させる理由を並べる。
コイツらにまで流されるか。
「わぁってるヨ。」
「あぁ。」
本当に、コレが……最後だ。
『うらぁぁぁぁぁあッッ!!!!!!』
自分の生命力も流し込むと、光は黒鮫だけでなく私たちをも包み込んだ。
これが、ゴールデンウィーク最終日の結末だった。