誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
真っ暗な世界だった。
どこを見渡しても真っ暗で、もしかしたら自分の瞼が開いてないのかもしれないという錯覚に陥ってくる。
だけど、閉じても開いても……そこは終わることのない暗闇だった。
自分はこんな世界にいたのかな……。
住んでいる世界は確かに沢山の色があって華やかに見えるけれど。
その中に埋もれるようにして生きている自分の本当の色は、この色なのかもしれない。
それを理解すると同時に……怖くなった。
いつからこうなってしまったのか。
そして、もう戻れないのか。
もう考えたくない。
もう嫌だ。
全てを無かったことにしたい。
そして……幸せだったあの頃に……。
(あなたは何が不安なの?)
声の先には、"私"がいた。
俺の中にいる私ではなく、本当の私。
(真琴として友情を築いてしまったこと?
white castleとして殺し屋を助けてしまったこと?)
(……両方。)
(それの何がいけないの?
2つとも、人として当たり前のことなのに。
あなたはただそれを、他の人がするように普通にしただけなのに。
なんでそんなに深く考えるの?)
(……そんな簡単に答えが出ないんだよ。)
(あなたは"私"に囚われることはないんだよ。)
気づいた時には、私は消えていた。
それと同時に、瞼が重くなってきた。
深く考えようとするほど瞼はどんどん降りてきて。
……やはり私にはまだ分からない……。