誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
「……由樹さんは、いつも俺の中に踏み込んできてくれる。
きっと聞いちゃいけないのかもしれないって思ってても、聞くことが俺のためになると思ってるから。
初めこそ戸惑ったけど、今はそれが嬉しいと思ってます。」
いつも私に聞いてくる由樹さんの顔は、優しい。
ただ聞くことだけに専念してくれるから。
「燐理は燐理、由樹さんは由樹さんです。
俺のことなんてこれから知っていけばいい。
俺も、由樹さんのこと知りたいです。」
紛れもない自分の本音だった。
まだ会って間もないから知らないのも無理はない。
大事なのはこれからだと思うから。
由樹さんはそっと微笑んで、頭を撫でてくれた。
「熱が出ているからかな?
今日はやけに素直なんだね。
それに、よく話す。」
「……いつもと同じです。」
「ふふっ、ごめんね。冗談だよ。
真琴くんにそう言ってもらえて良かった。
ありがとね。」
やっぱり由樹さんに撫でてもらうの好きだ。
たまには甘えてもいいのだと言ってくれているようで。
燐理には死んでもしないけど、由樹さんならいいかな。
「由樹さん。」
だから私も1歩を踏み出そう。
小さくてもいい。
来都たちが私にしてくれたように。
「……俺の仕事を、手伝ってはくれませんか?」
由樹さんは瞳を見開いていて。
「危険なことだって重々承知しています。
だけど、そんなことには俺がさせません。
だから……、」
「何を言ってるんだ。
やっと……やっと真琴くんの口から聞けた。
喜んで引き受けるよ、真琴"ちゃん"。」
私たちは……今日やっと、仲間になれた。
私はこの絆を死んでも護ろう。