誰かを護れる、そんな人に私はなりたかった。
〜第4章〜
「もう……テストやだー……。」
「……テスト終わったら学祭だから頑張ろ?」
「僕がいない間に出し物決まってるしー……。」
いや、それは仕方ないだろ。
学校ではテスト期間に入っていた。
と言っても、学祭期間と並行するため、学校内はお祭りムードなわけだが。
楽が嫌がっているのには理由がある。
楽は選ぶことも出来ずに、接客に回されたのだ。
なんでも、三銃士の1人が接客すれば女子が舞い込んでくるとクラスメイトが期待してのこと。
さすが男子校。考えることがアホらしい。
「真琴はいいよねー。裏方じゃん。」
「……ここじゃ楽以外誰も俺の顔みたことないからね。
それに、料理は得意な方だから。」
私は料理出来る系男子として裏方になった。
まぁ、いつもフードを被ってるから接客は無理だろうと配慮してくれたみたいだけど。
「僕も真琴と一緒がいいー!!!」
「……頑張れとしか言いようがない。」
テストに学祭、催し物はたくさんある。
「桜悠くんと来都くんのところはホストクラブだってぇー。
2人なら断然トップだよねー。」
確かに。
あの2人がホストとか逆に恐ろしい……。
絶対儲かりそう。
「めんどくさいなぁー。」
ぶうたれている楽の横で苦笑いする。
だが、私の意識は違うところにあった。
今日も……感じる。
辺りをゆっくり見回してみるけれど、誰もこちらを見ている様子はない。
最近感じる視線。
私に向けられているのか、それとも楽にかは分からないけれど。
じとっと纒わり付くような視線は、あまりにも不快で。
楽は気づいていないようだけれど、一体……誰が……?
「真琴、どうかしたー?」
「……いや、何にもない。」
何もなければいいのだけど……。
とりあえずは、相手が動くまで様子見しよう。
「見つけたぞ……。さぁ、ゲームの始まりといこうか。」