無口な彼の愛し方
「怒ってる?」

「別に」


ほら、怒ってるじゃん。

これだけ一緒に居るんだから、充の態度ですぐわかる。

その理由までは、まだわからないけど・・・


「みんな、変わってなかったね」

「あぁ」

「相変わらず、充の学校の人たちって面白い人たちだよね」


彼らのことを思い出し、自然と笑みが零れる。


「何笑ってんの」

「ううん、ただの思い出し笑い」

「そんなに嬉しかったんだ」

「え?」

「告白されて」


嬉しいと言うよりは、驚いたと言った方が正しい気がする。

それにお酒の場での話だし、誰も本気だなんて思っていない。

横目で、充はあたしに冷たい視線を送る。

そして、パッと手を離す。

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