無口な彼の愛し方
「もし俺らが勝って泣くなら・・・」

「手なんか、抜かないで」


あたしと同じように、充がバスケを好きなことは知ってる。

いつもクールに澄ましているが、充がどれだけ練習を頑張っているかあたしは知っている。

頑張っているから、人よりもたくさん努力しているから、あんな綺麗なフォームなんだ。

充のフォームは、見とれるくらい綺麗だ。

それはきっと、何百回、何千回とシュートを打ってきた人のみが習得できること。

だから、そんな充に手を抜いて欲しくない。

必死になって、今まで練習してきた事を全てぶつけてきて欲しい。


「きっと、あたしはどっちが勝っても泣くと思う。みんな、大事な仲間だから」


充は何も言わず、ただあたしのことをジッと見る。

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