無口な彼の愛し方
「そうだね」

「今までだって有村くんのプレー見たことあるけど、今日のはもう凄いとしか言いようないね」

「だね」

「これで明日からは、勉強漬けか」


さっきまで楽しそうに話していた瑞樹が、ため息と共に愚痴を漏らす。

瑞樹も進学のため、あたしと同様に受験生になる。

部活を引退した以上、あたし達もそろそろ本気で勉強しなければヤバい。


「瑞樹は頭良いから良いけど、あたしはもう地獄だよ」

「あたしだって、ヤバいよ。バスケばっかして、此間の中間テストで赤点あったし」

「マジ?」

「マジで。親から、ブチ切れられた」


赤点は、さすがにヤバいよね。

あたしは赤点こそはなかったが、志望校の大学に全然点数が足りない。

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