無口な彼の愛し方
あれから、充分過ぎるだけの時間が経った。

だけど、あたしは7年経っても充のことがわからない。

そういえば、今日だ。

今日で、付き合って7年目の記念日だ。

でも、きっと充は忘れてる。


「充の、バカ」


面と向かって文句も言えないから、あたしはここに居ない充に文句を零す。


「バカは、お前だろ」


え?

居ないと思って居た充が、飽きれたようにそこに立って居た。

先ほどあたしが使ったバスケットボールを拾い上げ、相変わらず綺麗なフォームでシュートを決めた。

シュートが決まったのを見て、小さく口元を緩める姿は今変わっていない。

そしてあたしも変わらず、そんな充の姿が好きだ。

・・・ムカつく。

充と付き合ってから、あたしだけが充のことをどんどん好きになってる気がする。

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