無口な彼の愛し方
分かりづらい男
「樋口先輩〜」


仕事をしていたあたしに、後輩のまゆちゃんが声を掛けてきた。


「どうしたの、まゆちゃん?」

「今日、一緒にご飯行きません?」

「別に良いけど、急だね」

「そうですか〜?」


なんか、怪しい。


「樋口先輩に相談あるんで、絶対付き合ってくださいよ!」


相談?

なんだろう。


「うん。わかった」


そして仕事を終え、更衣室で着替えを済ませたあたしの腕にまゆちゃんが絡まり付く。


「行きましょ」

「あ、うん」


やっぱり、怪しい。

そう思いつつも、聞くに聞けず、お店に連れて来られる。


「あ、まゆちゃん〜」


中に入ると、見覚えのある男がまゆちゃんに声を掛けた。


「瀬名さん。すいません遅くなって」

「全然」


まゆちゃんの言葉に、瀬名さんが満面の笑みを向けた。

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